医聖ヒポクラテスの不妊治療
医学を勉強している人ならば、一度は聞いたことがある有名人です。
医学の祖とか西洋医学の祖ともいわれ、紀元前460年ごろに生まれたそうです。
何と言っても、ヒポクラテスの偉大さは人体を科学的に考えたと言われています。
それまでの医学は完全に巫術でしたから、それから医学を離したのです(これは漢方もそうでした・・・)。
病気とは自然に発生するものであって超自然的な力(迷信、呪術)や神々の仕業ではないと考えた最初の人物とされています。
ヒポクラテスは「病気の原因の第一に、人体を構成している4種類の液体がある」と考えてました。
血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁のバランスの崩れで病気になると考えていました。
だからこそ、汗をかかせる薬や下剤、利尿剤を治療として用いていたそうです。
これを『体液病理説』と呼ぶそうです。
占医学から本当の医学が生まれた時代はどこの医学であっても変わらないということですね。
つまり、ヒポクラテスは「西洋医学の祖」ではなく、本当に「医学の祖」というわけです。
ヒポクラテスの格言をご紹介します。
・火食は過食に通ず
・満腹が原因の病気は、空腹によって治る
・月に一度断食をすれば、病気にならない
・病気は神が治し、恩恵は人が受け取る
・人は、自然から遠ざかるほど、病気に近づく
・病気は、食事療法と運動によって治療できる
・食べ物で治せない病気は、医者でも治せない
・人間は誰でも、身体の中に百人の名医を持っている
・賢者は、健康が最大の人間の喜びだと考えるべきだ
・病人の概念は存在しても、病気の概念は存在しない
・健全なる身体を目指す者は、完全なる排泄を心がけねばならない
・食べ物について知らない人が、どうして人の病気について理解できようか
・人間が、ありのままの自然体で、自然の中で生活をすれば、120歳まで生きられる
・病人に食べさせると、病気を養う事になる
・病気は、人間が自らの力をもって自然に治すものであり、医者はこれを手助けするものである
・すべての病気は腸から始まる
『ヒポクラテスの誓い』は今でも医療関係では大切にされている言葉です。
『医神アポロン、アスクレピオス、ヒギエイア、パナケイアおよびすべての男神と女神に誓う、私の能力と判断にしたがってこの誓いと約束を守ることを。この術を私に教えた人をわが親のごとく敬い、わが財を分かって、その必要あるとき助ける。その子孫を私自身の兄弟のごとくみて、彼らが学ぶことを欲すれば報酬なしにこの術を教える。そして書きものや講義その他あらゆる方法で私の持つ医術の知識をわが息子、わが師の息子、また医の規則にもとずき約束と誓いで結ばれている弟子どもに分かち与え、それ以外の誰にも与えない。
○私は能力と判断の限り患者に利益すると思う養生法をとり、悪くて有害と知る方法を決してとらない。
○頼まれても死に導くような薬を与えない。それを覚らせることもしない。同様に婦人を流産に導く道具を与えない。
○純粋と神聖をもってわが生涯を貫き、わが術を行う。
○結石を切りだすことは神かけてしない。それを業とするものに委せる。
○いかなる患家を訪れるときもそれはただ病者を利益するためであり、あらゆる勝手な戯れや堕落の行いを避ける。女と男、自由人と奴隷のちがいを考慮しない。
○医に関すると否とにかかわらず他人の生活について秘密を守る。
○この誓いを守りつづける限り、私は、いつも医術の実施を楽しみつつ生きてすべての人から尊敬されるであろう。もしこの誓いを破るならばその反対の運命をたまわりたい。』
まさに、医を志す者として当然のことです。
ヒポクラテス全集には、各種病気に対する治療法が書かれています。
なんと『不妊症』についても書かれているのです。
子宮の形の問題、妊娠できるかどうかの検査法、妊娠しているかどうかの検査法、男女の区別、妊娠を催起する方法などが細かく書かれています。
現代にもマッチしているものもありますが、それよりこの時代も妊娠できずに困っている方たちがいたことです。
不妊の原因にも及んでいますが、現在の不妊の原因とは少し違うようです。
当時はまだホルモンの存在、卵子や精子といった小さい物の存在はわかっていませんでした。
妊娠できない、流産するなどの経験から、子宮の形、子宮の硬さ、位置、炎症、おりもの、月経不順、腫瘍などを原因として考えたようです。
また子宮は全身の状態を表すと考えていたようで、月経痛や月経不順、さらには妊娠や不妊は全身が深くかかわっている行為だというのです。
妊娠できないということは、全身のどこかに悪影響を起こす場所があると考えられます。
全身で妊娠をし、妊娠を維持し、出産し、育児をする。
これは当たり前のことです。
だから子宮が、卵巣があれば妊娠できるのではなく、全身状態が良好であることがカギとなるのです。
いつも言っていますが、肉体を作るのは食事です。
食無くして、元気な体は作れません。
妊活を始めるには食事から、そして体中に栄養を送り込みましょう。